要介護者のQOLの程度によって介護者の負担はさまざまですが、日常生活の中での介護を工夫することで要介護者の自立を促し、症状の改善が見られることもあります。なおかつ、その人の尊厳を守ることも忘れてはいけません。
認知症や体が不自由になって介護の必要が出てきた人でも、日常生活の中に喜びを見出し、五感に適度な刺激を受けることは大切です。食事介助では、食事の喜びを忘れないように気をつけなければなりません。家族と一緒に食事をしたり、料理をおいしそうに盛り付けたり、季節が感じられるよう旬のものを使ったり、そういった工夫は忘れないようにしましょう。介護している人が、自分である程度箸やスプーンを使えるのなら、自分でやらせることも必要です。
さらに、入浴は身体を清潔にし、気分もリラックスするため、可能な限り入浴できるようにしましょう。毎日入れるのであれば毎日、できれば2日に1日は入浴できるといいですね。入浴の際は、浴室を事前に暖めたり、滑らないようにマットやタオルを敷いたりする工夫が必要になります。体を見られる恥ずかしさは老年になってもありますので、最大限の配慮をするのも大切です。転倒や溺れることに留意して、上手に介助しましょう。
また、排泄介助は本人のプライドを傷つけないように配慮することも必要です。例えば、なるべくこまめにトイレに連れて行くことで、漏らして落胆することがなくなります。これらの介助は本人ができることを積極的にやらせて、なるべく自立した状態を維持できるように意識するとよいでしょう。